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2024年12月期 北中城村商工会景気動向調査の結果について

北中城村商工会による景気動向調査の結果を踏まえた現況について分析および概説する。


【サービス業】25業者

 6月期においては、ほとんどの項目が不変であったが、12月期では客数、経費が増加との回答が多くなり、売上高は増加と不変が同数となった。このことから、6月期よりは売上と客数の増加傾向であるが、同時に物価の高騰により経費は増加の回答が増えた。このことから、経営環境的には決して楽観できない状況であると推察される。一方で、賃上げについては不変の回答が多くなっていることから、これまで継続的に引き上げられてきた、人件費についてはひと段落したとみられる。なお、全県的な消費動向としては、県内の消費マインドは底堅い推移が見込まれ、回復の動きが強まるとされ1)、さらに飲食サービス業においては、仕入れ価格高騰が顕著ながら、観光客増を受け好調であるものの、価格転嫁でカバーできていない状況が広く見られるとしている2)。このことから、村内のサービス業においても、売上や客数は増加しているが、経費も増加しているという、県内景況と同様の回答から、経費の増加について価格転嫁がうまく行われていない状況がうかがえる。


【卸売・小売】18業者

 6月期も売上高、採算(粗利)、客単価が増加し好調な回答が多かったが、今期12月期も引き続き、売上、採算(粗利)、客数が増加しているという回答が多く、村内の卸売・小売業は年間を通して、好調に推移しているものと窺える。一方で、経費も増加しているという回答も多く、さらに6月期では賃上げは不変の回答が多かったものの、12月期では引き上げの回答が増加している。このことから、サービス業同様、経営環境的には予断を許さない状況だと推察される。そのため、県内の消費マインドは底堅く推移し、回復の動きが強いことからも1)、引き続き、人件費や経費の価格転嫁ができるかどうかが、経営の最重要点課題となると推察される。


【飲食・宿泊業】9業者

 6月期においては、売上高、採算(粗利)、客数ともに増加という回答が多かったが、12月期においては、売上高と客単価は増加という回答が多く、好調に推移している。一方で、採算(粗利)は減少の回答が増加した。これは、6月期から引き続き、経費と賃上げについては、増加という回答が多いことから、価格転嫁に経費と人件費の上昇が追いついていない状況が窺える。県内景況における宿泊業については、売上高、宿泊収入ともに5か月連続で前年を上回っており、外国からの訪日意欲の高まり、行楽シーズンの国内客の増加も予想されていることから、拡大の動きが強まり1)今後とも外国客および国内客の観光需要が回復しするとしている。しかし人手不足の常態化が続いているということから2)、賃上げ傾向は続くことが予想されることから、引き続き、これら経費の価格転嫁がサービス、小売業同様に重要な経営課題になると推察される。



【建設業】25業者

 県内景況における、建設業の調査結果では、2期連続で下降となり、技術者の人手不足による受注断念をする企業が増加した2)。さらに、建設着工床面積は、居住用、非居住用ともに、2か月連続で前年を下回り、同様に新設住宅着工戸数も2か月連続で前年を下回っている。これらのことから、需要はあるものの、需要にこたえる人材が確保できないという人手不足に起因していると指摘されている2)。本村の状況においては、ほとんどの回答項目で6月期から引き続きほとんど不変とする回答が多い。一方で、増加と減少を比較すると、売上高、引き合い、資金繰り、従業員、受注・製品単価、設備投資、今後の見通しともに、増加との回答が多いことが、明るい兆しとしてとらえることができる。


【金融業】1業者

 金融業については1業者の回答であった。売上、採算(粗利)、今後の見通しともに、6月期と同様に増加であり、他の項目は不変であるとの回答から、引き続き好調傾向であることが窺える


【不動産】2業者

 不動産業については2業者の回答であった。6月期同様に減少の回答はなく、増加および不変の回答がなされていることから、引き続き好調傾向であることが窺える。


【引用】

1) りゅうぎん総合研究所「県内の景気動向概況(2024年10月)」

2)海邦総研「県内景気動向調査(2024年7-9月期実績、10-12月見通し)」2024年10月


沖縄国際大学産業情報学部 小原満春

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